2016年 01月 30日
☆ <ほのか座> うつくしい日―吟遊詩人登場 ★ <誰でもないあなた>へ |
<ほのか座>
―きょうはふらりと吟遊詩人がギターを抱いて来てくれました。
では、季節がら立春にちなんだ詩を一篇、朗読してもらいましょう―
うつくしい日
「立春のひかりを両の掌(て)にいただきました…」
やっとそんな兆しが心に芽生えてついぞなかった努力を身体に言い聞かせ
幾重にもかさなった織物、編み地のなかからどうにか手指足先をひき出して
さんざん手古摺ったりこけそうにもなった末ぐらぐらと 久方ぶりに板戸を
引き開けて
おもてにひろがる荒れた畑地を 濁ったそこひの瞳で見呆け―しばらくそう
して
いまのいままで凍てついていた錆ついていたそれぞれの骨、関節、やせ枯れ
た筋肉をわななき折ろうとでもするようにはためかせ あるいはスローモー
ションでタンゴのステップを展開するようにも唐突、華麗に片足、片足踏み
出して ごぉーごぉーと息をつき
気の遠くなるほどの時間をついやしてのち 老婆は おおいぬのふぐりを
がまの姿形(かたち)で見つめていた
★ <誰でもないあなた>へ
暖冬と油断していたら突然酷寒に襲われ…、と近頃の天候の大揺れには
痛めつけられますね。被害にあわれた方々、いまも不自由を強いられている
地方、お見舞い申し上げます。
せめて春の気配をと、旧作ですが立春のある情景をお届けしました。
先日、冬陽に恵まれた日に鎌倉近代美術館を訪れてきました。
鶴岡八幡宮の境内に位置し、源平池に面したこの美術館にこれまで何度
足を運んだことか。ここで出遭った作品たちから、きっと心の養分を
たっぷりいただいていると思います。
とても寂しいことに、この1月いっぱいで閉館になるとのことで、
お別れのつもりで行ってきました。親しい人を失ったような思いです。
きっと同じような思いの方々なのでしょう、池のほとり、建物の周囲に
去りがたげに佇む人々の姿がありました。
by honoka018
| 2016-01-30 14:26